日航機事故後の家族描く 遺族の絵本を英訳

2020.01.15

高等部の翻訳授業の取り組みがニュースに取り上げられます

パパの柿の木

パパの柿の木

2020.1.15(Wed) 18:15~ 「キャスト -CAST- 」 朝日放送テレビ

7年生の「5Respect」の授業で、Respect for SELFのひとつ、「命」について考えることをテーマに、「パパの柿の木」の著者であられる谷口真知子さんにゲストスピーカーとしてきていただいたことから交流を重ね、本校の英語の授業で英訳をするきっかけとなりました。そのことがニュースや新聞に取り上げられております。

「キャスト -CAST- 」 朝日放送テレビ



日航機墜落:34年 家族は大切、世界共通 遺族の絵本、高校生が英訳
毎日新聞  2019.08.10 西部夕刊 9頁 社会面


 1985年8月12日に起きた日航ジャンボ機墜落事故の遺族、谷口真知子さん(71)=大阪府箕面市=が亡き夫への思いを描いた絵本の英訳に、関西学院千里国際高等部(箕面市)の生徒たちが取り組んでいる。谷口さんと交流を重ねてきた生徒らは「家族が家に帰ってきてくれることがどれほどありがたいことかが分かった」と感銘を受け、一語一語心を込めて翻訳を進めている。【石川将来】
 「まち子 子供よろしく」
 事故機に搭乗していた夫の正勝さん(当時40歳)は備え付けの紙袋に2人の息子を託す遺書を残した。その年の秋、「子どもたちに食べさせたい」と正勝さんが事故の約5年前に自宅の庭に植えた柿の木に初めて実がなった。谷口さんは「パパが見守っているように感じた」と振り返る。
 それから毎年秋に実を付けた。谷口さんは2016年夏、柿の木に励まされながら懸命に生きる家族の姿を、当時小学3年だった次男の視点で絵本に描き、「パパの柿の木」(星湖舎)のタイトルで出版した。
 翌年秋、命の重みについて考える授業で谷口さんが同校に招かれた縁から、生徒に翻訳を依頼。帰国子女の生徒8人が在籍するクラスで手掛けることになり、今年6月以降、週3回の英語の授業を翻訳に充てた。6月26日の授業に姿を見せた谷口さんは「主人公と年代の近い皆さんなら、大好きなパパを突然失った苦しみや悲しみを考えながら、良い英訳をしてくれる気がする」と語りかけた。
 <それから毎日、ママはパパの靴を置いていた>。逆に生徒から絵本のこんな一場面の解説を求められた谷口さんは「亡くなった後も玄関に靴を置いておけば、パパがいてくれる気がした」と涙ながらに説明した。
 谷口さんとの出会いで日航機事故を知ったという高校3年の上原礼さん(17)は「家族を思う気持ちは世界共通。『日常を無駄にせず意味のある毎日を生きよう』と思い返してもらえる訳にしたい」と意欲は高い。
 谷口さんは「ありきたりな毎日がいかに大切なものか、海外の人たちにも感じてもらう機会になる。いつか翻訳版を出版できたら」と話す。
 授業では、箕面市出身の歌手、北川たつやさん(34)が、絵本を基に作詞・作曲した歌「茜空(あかねぞら)」の英訳にも取り組んでいる。谷口さんとともに授業で思いを語った北川さんは「思った以上に歌詞を深くイメージして言葉を選んでくれている」と生徒らを頼もしそうに見つめた。

「日航機事故遺族の絵本を高校生が英訳 一語一語心を込めて」

毎日新聞