【中学公民】自国の利益を守り、世界の未来を創る――模擬国連(MUN)で世界を繋ぐ
本校9年生(中学3年生)の公民の授業において、本校のスクールミッションである「知識と思いやりをもち創造力を駆使して世界に貢献する個人」を育むための学びとして、2週間にわたる模擬国連(MUN)を実施しました。
今回の議題は、国連レストランで提供する「SDGsメニュー」の策定です。
この会議の核心は、単に美味しいメニューを作ることではなく、自国の文化や宗教を守り抜く「国益」と、世界の課題を解決する「国際貢献」をいかに両立させるかにあります。
会議の冒頭、生徒たちに「国連の光と影」というテーマを投げかけました。
戦争を防ぎ地球を守る「最後の砦」としての役割がある一方で、主権国家の対立によって話し合いが難航するという現実です。
生徒たちはこの「影」を打破すべく、自国の特産品や直面している貧困、食品ロスといった課題を徹底的にリサーチし、政策立案に挑みました。
実際の交渉(非公式協議)では、想像を超える熱い議論が繰り広げられました。
インド大使は、ヒンドゥー教の教えに基づき「牛肉の絶対禁止」を死守項目として掲げ、肉料理をメインにしたいブラジルとの間で激しい火花を散らしていました。
一方でアメリカ大使は、最新の「代替肉(フェイクミート)」技術を活用することで、宗教やヴィーガンに左右されずに誰もが食べられる料理を提案し、多くの国の関心を集めました。また、サウジアラビア大使は、デーツ(ナツメヤシ)とアラビア式コーヒーのセットを「最高のおもてなし」としてメニューに組み込むべく、各国の外交官と粘り強いロビー活動を行っていました。
議論の末、提出された決議案は投票にかけられました。結果は4対3という大接戦の末、アメリカとフランスの共同で起案した、最新技術と食品ロス削減を融合させた「芸術性の高いフルコース料理」が採択されました。しかし、採択の瞬間に喜びが溢れる一方で、自国の「健康・長寿」の文言や「肉料理の採用」といった譲れない条件を決議案に刻み込めず、死守ミッションに失敗してしまった国々もありました。これこそが生徒たちが肌で感じた「国際政治の厳しさ」であり、話し合いだけで世界を一つにする難しさ、すなわち国連の「影」そのものでした。
授業の最後に行ったリフレクションでは、自国の利益を守りながら世界の未来を創ることの葛藤について、多くの生徒が深い洞察を述べていました。
答えが一つではないグローバルな課題に対し、立場を超えて話し合い、創造的な妥協点を見出す。
生徒たちが、この経験を糧に「世界に貢献する個人」として成長していく姿を確信した2週間でした。
(文責)社会科:増谷賢一
