夏の挑戦  関西学院大学総合政策学部 村田俊一教授の「総合政策トピックスA」

2022.09.11

 

 本校の高校生は、高大連携プロジェクトとして2016年から毎年夏総合政策トピックスAという関西学院大学総合政策学部の夏季集中講義に関西学院高等部、啓明学院高等学校の高校生と共に参加しています。今年は5日間の大学の講義をKSCキャンパスに実際に行って、大学の先生方の講義を受けてきました。私も例年引率をさせていただいていますが、今年もとてもわくわくした内容になりました。
 

社会科・SDGsfor Children顧問 長尾芙美



【総合政策トピックスAとは】

 関西学院大学総合政策学部の「総合政策トピックスA」という授業は、本校では実は「村田学校」と呼ばれています。関西学院大学 特任教授/元総合政策学部教授、国連外交統括センター教授の村田俊一先生の熱い授業を集中して受けることができるからです。具体的な授業の内容は、国際公共政策の分野から実例を題材としたケーススタディを行い、問題解決への関心、解決能力などの基礎的な国際要素を身に着けること、統計学の学びを用いて根拠を持って「理論」を説明できる力をつけることを目的としています。「現場を知ること」と「理論を持つこと」を両論とし、「現場」での実情を「理論」を用いて検証を行い、また「理論」を「現場」に当てはめ進展・改善を図るという思考プロセスの形成を求められます。与えられた情報についてひとりひとりが思考をめぐらし、問題を探索し、意見をまとめ、他者へ発信していくことに価値を見出す問題解決型・self-development型のワークショップです。
 7月にはブリーフィングと称してKSCキャンパスにてワークショップの目的を共有し、基礎的な知識や本番までの課題などを村田教授、経済学部の豊原教授から出されました。そしてその課題もふまえて8月1日から5日まで、5日間みっちりと先生方から学んできました。その学びの感想を参加した2名の生徒に書いてもらいました。

 



【感想】
12年 松原理乃

 総合政策トピックスAの講義では、ケーススタディや、統計学、Content Analysisなどの学習を通し、学術的に問題解決をする手立て、そして、それをどう応用利用するのかを学びました。”絶対解”ではなく、答えのない問題に対する”納得解”の重要性が叫ばれている昨今。自らが導き出した”納得解”が、他者も納得できる正当な解なのか、そして、それが独りよがりな提案になっていないか。たくさんの問題解決方法を教わり、一番印象に残っているのは、DAC6原則です。DAC6原則とは、①妥当性 ②整合性 ③効率性 ④効果 ⑤Impact ⑥自立発展性、の6つの項目から、問題の解決策に対する評価をする方法で、国際的なODAの評価基準でもあります。これから、私が問題解決をする場面では、解決策を出した後、DAC6原則に基づいて評価をしたいと思います。最後に、5日間の講義は、普段の学びと比べて、とても内容が濃く、毎日の課題も多かったため、ハードなものでしたが、これからの社会を生き抜くために、知っておいた方が良いことを沢山勉強することができ、高校生活最後の夏休みを有意義なものにすることができました。


10年 原田桜子
 私がこの講義を通じて学んだことは2点あり、それは物事の捉え方とコミュニケーションを取ることの重要性です。具体的な例をあげると、「アクターの整理、それぞれの利害関係の精査」この2つの重要性を学びました。2点目のコミュニケーションについてですが、これは初めのブリーフィングでも村田先生がおっしゃっていた「マトリックスプロセスコンサルテーション」がいかに重要かということです。この講義を通じて何度もディスカッションを重ねたり、他の人の発表を聞くことによって、自分の反省点や改善点が見つかったり、自分のアイデアがブラッシュアップされていく面白さを改めて学びました。この授業を通じて見えた反省点はリサーチの甘さです。他の人の都道府県分析や、最終プレゼンでの質疑応答を通じて、自分のリサーチ量の少なさ、データの見方の甘さを痛感しました。今回の講義でより深読みして考えるということを学びました。深読みした後に、そのようなデータがいるのか、一つ一つの小さな疑問点を脳内で自己解決するのではなく、しっかりとエビデンスを持って解決していくことが、整合性の取れたソリューション、より正確な利害関係の整理につながると感じたので、今回見えた反省点を次に活かしたいと考えています。



 

SIS卒業生でTA(ティーチングアシスタント)を務めてくれたclass of 2018 和氣礼佳さんからも今年の総合政策トピックスAについて コメントをいただいております。

5年前の夏、SIS12年生の頃に履修生として参加した総合政策トピックスAの集中講義で、この度TAを務めさせていただきました。高校生と関学生の熱い議論や課題への取り組みを間近でサポートさせていただき、改めて高大連携、及びSISの教育の素晴らしさを実感することができました。こうして卒業後もSISの先生や生徒の皆さんと関われたことは非常に貴重で嬉しく、素敵な夏の思い出の一つになりました。