高等部2年生が入賞しました!「いっしょに考える『福島、その先の環境へ』チャレンジ・アワード2021」
本校の高等部2年生、松原理乃さんの作品が、「いっしょに考える『福島、その先の環境へ』チャレンジ・アワード2021」(環境省主催)に入賞しました!
<松原さんのコメント>
・志望動機
私は今年の夏休みに、関西学院大学のPBL講座「福島で学ぶ復興と原発問題」に参加し、そこから東日本大震災と原子力災害の復興について興味を持ち、少しずつ活動を始めてきました。その中で、環境省主催のいっしょに考える「福島、その先の環境へ」チャレンジアワードを紹介していただき、応募しました。
・入賞した感想
私はこのコンテストで入賞することができました。正直なところ「最優秀賞」を取る気持ちで応募したので少し悔しいですが、後述する私の内容が、復興への意見として認められたことがとても嬉しかったです。
・チャレンジ・アワードとは
震災から10年経った福島の振り返りと、福島を「こう変えたい」「こうなって欲しい」という未来や希望へのアイデアや想いを募集した、作文コンクールです。
・作品の内容
「世界のFUKUSHIMAになる方法」というテーマの作品を書きました。「福島」ではなく「FUKUSHIMA」がポイントです。
10年前に原子力災害を経験した福島は、着実に復興を進めています。そんな中で一番の課題は福島第一原発の廃炉だと言われています。廃炉、特に福島第一原発のような事故を起こした原発の廃炉には高度な技術が必要なのですが、日本の廃炉のロボット技術はとても乏しく、技術の大半を輸入に頼っています。そこで、私は日本がもっと廃炉の技術を研究開発することが必要だと感じ、またその場所は福島しかないと考えました。技術で世界をリードすることは、とても価値があり、大きなビジネスにもなるし、国内外からリスペクトされるようになると期待しています。
また、世界中で脱炭素社会に向けて、発電としての原子力利用はしばらく続くと考えられており、新しい原子力技術も次々に登場すると言われています。その中で私が “来る”と考えているのは、原子力の宇宙利用です。これから先、宇宙開発は外惑星軌道外の太陽光が弱い場所、そしてとても遠くてたどり着くのに莫大なエネルギーを要するところに探査に行くでしょう。宇宙空間には宇宙線というものがあり、それはいわば放射線なので、放射線災害や被曝などの心配は不要です。
福島で原子力、廃炉の研究をして「世界のFUKUSHIMAになって欲しい」というのが私の作品です。
・今の福島
授賞式は福島県大熊町のlinkる大熊で実施されました。私は12/4に実際に福島を訪問し、式の後には受賞者のための、福島の今を見るツアーに参加しました。福島を訪れるにあたり、事前に自分なりにいくつか質問を考え、その答えを探しました。そのうちの2つが、福島の今を肌で感じる。今は私にどう映るのか、また、どのような光と影があるのか。私ならどういうキャッチフレーズ、タイトルを今の浜通りに付けるか、その答えを簡単に書きます。
PBL講座で、福島県の内堀知事にお話を伺う機会があり、「今の福島は光と影が混ざり合っている」ということをおっしゃっていました。私が光と感じたのは、本当にインフラが整備されていて、復興を思って暮らす人や働く人がいたことでした。影だと感じたのは、目に見える景色などのパッと見て反射的に影だと感じるものでした。2011年からそのままになっている瓦礫、帰宅困難区域の看板やフェンス、津波に流された請戸小学校、こんなところが本当に存在するんだという感じでした。私はもう一つ、地獄もあるように思いました。それは、震災から10年経っても山積している、もしくは浮上した問題です。作品にも書いた廃炉や、帰宅困難区域の空き家や荒廃した土地。課題は沢山あるなと改めて感じました。
前述のように「光と影が混ざり合っている」それが訪問する前に考えていた今の福島でしたが、実際に現地を訪れると、「風景だけを見てないで、変化し続ける町をみてくれ」と言われているように感じました。復興の定義は難しいですが、少なくとも震災が起きる前の町や生活にそっくりそのまま戻すことではないでしょう。人々が不安のない日常を送れるようになること、その感覚は一人一人違うと思います。確かにあまり人もいないし、未だ道端には黒い袋(フレコンバッグ)がたくさん置かれていたりと、まだ全然復興が進んでいないと感じるところもあるかもしれませんが、震災を経験した福島だからこそのゼロカーボン実現モデルへの挑戦など、新たなチャレンジがたくさん始まっています。皆さんにも是非、福島のチャレンジを知ってもらえればと思います。